国鉄自動車 犀川線と美ヶ原高原線について
1.犀川線
昭和20年12月20日 区間貨物運輸営業を開始
貨物取扱所:松本・明科・長野・信濃大町・西條・坂北・麻績
昭和27年8月31日 区間貨物運輸営業を廃止
昭和27年9月1日 犀川線開業(一般路線貨物自動車運送事業)
松本−長野、新伊勢町−藤池、明科−明通、明科−高府、
信濃塩沢−麻積、山清路−坂北
停車場:松本・明科・長野・信濃大町・西條・坂北・麻績
新伊勢町 長野県松本市新伊勢町
山清路 長野県東筑摩郡生坂村大字山清路
水内新町 長野県上水内郡水内村大字新町
藤池 長野県東筑摩郡中川村大字藤池
信濃塩沢 長野県東筑摩郡中川村大字塩沢
明通 長野県東筑摩郡本城村大字明通
高府 長野県上水内郡南小川村大字高府
昭和40年10月31日 犀川線廃止
・明科自動車営業所が担当。
・「新伊勢町」は、現在の住居表示でいうと、「中央1丁目の2番・8番」あたり。
現在のパルコのある通りから一本お城よりの通り。
2.美ヶ原高原線
昭和32年12月3日 浅間温泉−武石峠 (16.5km) 免許
昭和32年12月10日〜昭和33年3月31日 上浅間−武石峠における臨時運輸営業開始
鉄道公報 S32.12.12 より
845 1450 \ 上浅間 1100 1650
903 1508 30 美鈴湖 1042 1632
908 1513 35 渋池スケート場 1037 1627
927 1532 70 袴越スキー場 1018 1608
935 1540 85 武石峠(美ヶ原高原) 1010 1600
昭和33年8月30日 武石峠−天狗の露地 (5.8km) 開業 22.3km全通
昭和35年6月1日〜11月10日 浅間温泉−天狗の露地における旅客自動車の運行
鉄道公報 S35.7.5 より
浅間温泉,美鈴湖,渋池,白樺口,烏帽子前,燕岩見晴台,袴越,つつじが原,武石峠,
思い出の丘,武石峰,信濃焼山,天狗の露地
運行期間
(1) 6/1〜7/19,8/22〜9/11 一日3往復
740 930 1300 浅間 温泉 \ 1215 1457 1745
930 1050 1450 天狗の露地 105 1030 1300 1600
(2) 7/20〜8/21 一日4往復
630 740 900 1300 浅間 温泉 \ 1145 1405 1545 1745
820 930 1050 1450 天狗の露地 105 1000 1200 1400 1600
(3) 9/12〜11/10 一日2往復
800 930 浅間 温泉 \ 1445 1705
950 1120 天狗の露地 105 1300 1530
昭和36年10月
日本交通公社時刻表(S36/8/28改正)
美ヶ原線 一日3往復
浅間 温泉 \ 800 900 1320
美 鈴 湖 30 833 930 1353
天狗の露地 105 940 1040 1500
天狗の露地 1100 1300 1600
美 鈴 湖 1210 1410 1710
浅間 温泉 1235 1435 1735
昭和39年4月1日 松本電気鉄道の松本−浅間温泉の鉄道を廃止、同社バス路線に
移管した。
昭和39年5月2日
鉄道公報(通報)
雪害及び悪路のため、運行を休止していた次の路線は、自動車の運行を復活する
小諸線 浅間温泉−天狗の路地 22.3km 4/25から
昭和45年(1970)10月
日本交通公社時刻表(S45/9/1改正)
路線名不詳 一日5往復
浅間 温泉 \ 800 900 1100 1200 1300
美 鈴 湖 60 820 920 1120 1220 1320
天狗の露地 230 920 1020 1220 1320 1420
天狗の露地 1000 1100 1300 1400 1500
美 鈴 湖 1100 1200 1400 1500 1600
浅間 温泉 1115 1215 1415 1515 1615
昭和45〜47年 天狗の露地を美ヶ原高原に改称
昭和48(1973)年5月
日本交通公社時刻表
美ヶ原高原線と記述有り
昭和50(1975)年8月
日本交通公社時刻表(S50/7/12改正)
路線名不詳 一日6往復
浅間温泉−美鈴湖−袴腰−武石峠−思い出の丘−焼山−美ヶ原高原
浅間 温泉 \ 800 900 1110 1220 1340 1450
美 鈴 湖 110 818 918 1128 1238 1358 1508
思い出の丘 410 859 959 1209 1319 1439 1549
美ヶ原高原 480 910 1010 1220 1330 1450 1600
美ヶ原高原 1000 1100 1300 1400 1520 1630
思い出の丘 1011 1111 1311 1411 1531 1641
美 鈴 湖 1050 1150 1350 1450 1610 1720
浅間 温泉 1105 1205 1405 1505 1625 1735
昭和53(1978)年2月
日本交通公社時刻表(S53/2/2現在)
路線名 美ヶ原高原線 一日3往復(冬季ダイヤ)
浅間温泉−美鈴湖(−袴越スキー場−美ヶ原高原)
浅間温泉 美鈴湖
0900=========>0915
1000<=========0940
1220=========>1235
1320<=========1300
1330=========>1345
1430<=========1410
運賃:浅間温泉=>美鈴湖 170円、浅間温泉=>袴越スキー場 460円
(参考)松本電気鉄道
松本ターミナルから浅間温泉経由で美鈴湖と美ヶ原高原に路線を
持っていた様でして、こちらも冬期は美鈴湖までの運行。
系統
A系統:松本ターミナル==高原入口==美ヶ原高原 (冬期運休)
B系統:松本ターミナル==美ヶ原温泉==浅間温泉==美鈴湖==美ヶ原高原
(冬期は美鈴湖まで)
A系統運賃、松本から高原入口 180円・美ヶ原高原 550円
B系統運賃、松本から美ヶ原温泉・浅間温泉 160円・美鈴湖 290円・
美ヶ原高原 750円
B系統は、冬期ダイヤで5回の運行があった模様。
昭和58(1983)年5月
交通公社の全国小型時刻表
巻頭の地図で、5月号は2本線(国鉄バス)だったが、6月号では1本線(民鉄バス)
に変更された。
昭和58年5月頃 路線廃止し、松本電気鉄道バスに移管。
・美ヶ原高原線は、国鉄バス浅間温泉〜美ヶ原高原に臨時免許で運行された路線
である。美ヶ原高原線という名称も、旅客案内上の名称で、正式名称ではない。
また、この路線は、国鉄の路線名称にも反映された事がない。
・『本郷村誌』(昭和58年5月)によると、以下の通り。
> 昭和31年本郷村森林組合が林道として開設した、林道美ヶ
>原線を利用して美ヶ原高原登山客の輸送の便を図るため、
>地元および森林組合が要請陳情して、関係方面の折衝の結果
>昭和32年12月3日に浅間温泉から武石峠間の16.5キロ
>メートルの一般乗合旅客自動車運送事業(臨時経営)が免許
>となり、運行が開始された。
> また昭和33年8月30日武石峠より天狗の露地間5.8キロ
>メートル(美ヶ原高原に改称の)一般乗合旅客自動車運送事業
>(臨時経営)が免許となり、武石峠から美ヶ原高原間が延長と
>なり、全長22.3キロメートルの路線がなお臨時経営のまま
>現在も続けられている。
> また、昭和35年12月1日には小諸自動車営業所明科支所
>本郷派出所が発足している。
> 昭和37年3月17日明科支所に改称。
> 昭和47年1月20日松本支所に改称。
> 昭和54年12月1日※松本市大字大村386番地に移転。当所を
>基地として現在もここからバスが発着し、敷地面積1,119
>平方メートルに事務所、車庫、宿舎等の施設が設けられている。
>職員は支所長1名、助役1名、運転係兼営業係5名、車両係1名
>の計8名で現在業務が行われている。車輌は夏期8台冬期3台で
>運行されている。
> 路線はカーブが多く50余のカーブミラーが取付けられている。
>県道6.2キロメートル市道0.8キロメートル有料林道15.3キロ
>メートル勾配10パーセントから13パーセントを走り駅数14駅から
>なっている。
>浅間温泉〜美鈴湖口〜美鈴湖〜渋池〜白樺口〜烏帽子岩〜
>見晴台〜浅間温泉スキー場〜つつじヶ原〜武石峠〜思出丘〜
>武石峰〜信州焼山〜美ヶ原
※ 原文は、昭和44年12月1日。
・『東筑摩郡・松本市・塩尻市誌』(昭和40年11月3日発行)によると、
「国鉄バスは塩尻線の他、昭和32年から浅間・美ヶ原間を運行する線もあり
(線名未決定)、現在1日3往復運行している。」とある。
・運行は、通年営業であった。冬季は、美鈴湖?まで運行していた。
・本郷派出所(後の松本支所)が担当。
浅間温泉付近は、旧本郷村で、昭和49年5月に松本市に合併している。
現在、松本支所の跡地は更地になり、一般的な駐車場になっている。
※松本支所の跡 撮影:蜻蛉さん
>敷地の西側を南北に走っている道路から撮りました。
>この写真は北東を向いて撮ったものです。右側に逆光でつぶれている
>家がありますが、ここに支所の建物があったそうです。
・浅間温泉のバス停(国鉄)は、現在の八十二銀行のところにあったらしい。
・この路線は、元々既存の上田駅〜山本小屋間の路線の飛び地(山本小屋−天狗
の露地間は徒歩連絡)のような性格だったが、国鉄末期は、長野県内で、路線の
ある市町村にしか貸切バスの配車権のなかった国鉄バスが、松本市内(その時は
既に本郷村は合併していた)に配車権を得るためのいわば権利維持路線だったよ
うだ。
・山本小屋から美ヶ原高原までの区間は、一般周遊乗車券作成時に徒歩連絡が認
められていた区間だったらしい。
3.国鉄自動車 犀川線と美ヶ原高原線 路線図
・ ・
・ ・
・ たかふ ◎長野
・ +−−○高府 /・
・ / / ・
・ / ○−−+ ・
・/ /水内新町 ・
◎信濃大町 / みのち ・ ・
・\ さんせいじ/ ・ ・
・ + 山清路/ ・
・ | ○ +−◎麻績(聖高原)
・ | |\ |・
・ | | ++−◎坂北
・ | | |・
・ + | ◎西條(西条)
・ \ | +・ 明通
・ \ | ・\ ○
・ \ | ・ \ /
・ \|・ 藤池 \ /
・ 明科◎−−○−−−○−+
・ /・ | 信濃塩沢
・ / ・ |
・ + ・ +
・ \・ /
・ ・\ / 浅間温泉 武石峠
・ ・ ○新伊勢町 ○−−−○−−−○
・・/ 美鈴湖 \
◎松本 \
・ ○
・ 美ヶ原高原
(天狗の露地)
・・・:国鉄鉄道路線
「JRグループ 鉄道路線図 平成11年」交通日本社には、
犀川線や美ヶ原高原線が記載されている。
4.関連する自動車営業所の略歴
昭和20年11月1日 岩村田自動車区開設
長野県北佐久郡岩村田町大字長土呂
昭和21年12月15日 岩村田自動車区明科支所開設
長野県東筑摩郡中川手村大字塔ノ原
昭和22年12月20日 岩村田自動車区明科支所が自動車区に昇格
昭和25年3月31日 自動車区を自動車営業所に改称
昭和31年12月10日 小諸自動車営業所を開設
長野県小諸市甲3002-1
岩村田(営)と下諏訪(営)長久保支所が小諸(営)の支所となる
昭和33年4月1日 小諸自動車営業所岩村田支所が派出所になる
昭和34年4月1日 明科自動車営業所を小諸自動車営業所の支所とする
昭和35年12月1日* 小諸自動車営業所明科支所本郷派出所を開設
長野県東筑摩郡本郷村
昭和37年3月17日* 明科支所を廃止し、本郷派出所を明科支所に昇格改称?
昭和47年1月20日* 明科支所を松本支所に改称?
(小諸自動車営業所本郷派出所を松本支所に昇格改称)
昭和54年12月1日* 小諸自動車営業所松本支所を移転
長野県松本市大字大村386番地
昭和58年5月頃 小諸自動車営業所松本支所を廃止?
・略歴は、国鉄自動車五十年史(*印は、本郷村史)より。
・営業所の所在地は、後年の資料を基にしたので、当時と異なる可能性あり。
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協力者(どうもありがとう)
・久保井さん
・蜻蛉さん
・白木さん
・松島さん
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