国鉄バス駅とは
作成:2000/09/30
修正:2022-03-16 日本交通観光社について追記
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1 昭和27年当時の駅の種類
国鉄自動車の特色の1つに「駅」の設置が挙げられますが、斉藤治平著「国鉄自動
車経営論」の中で、昭和27年当時の駅の種類が分類されていました。興味深いので
参考までにご紹介させて頂きます。
(1)駅員配置駅:鉄道の停車場で自動車の業務を併せ行うものと、自動車だけの
駅員配置駅が存在。(注:接続駅も自動車線駅の性格を有してい
たようです。)自動車だけの駅員配置駅は、経営合理化のため、
既に業務委託駅に転換されていた模様です。
1 一般運輸営業を営む駅員配置駅
急行小口扱、小口扱、車扱貨物の業務、乗車券発売、団体貸切輸送の引
受等の旅客業務、手小荷物業務等営業範囲一切を営む。
2 貨物取扱を除く一般運輸営業を営む駅員配置駅
3 旅客に限り取り扱う駅員配置駅
昭和27年当時、十和田北線子の口駅のみ存在したようです。
4 小荷物及び貨物だけを扱う駅員配置駅
従来からの貨物路線及び機動運営から転換した貨物路線の接続駅及び少
数の路線内の駅員配置駅とあり、徳山線揖斐町駅が例として挙げられて
います。
(2)業務委託駅
1 一般運輸営業を営む業務委託駅
一般運輸営業を行う駅員配置駅の業務を個人又は団体に委託したもの。
2 貨物の取扱を除き一般運輸営業を営む業務委託駅
3 旅客、到着手荷物・小荷物及び貨物に限り取扱い、当該自動車線外にわた
る乗車券を発売しない駅
駅では乗車券を発売しないが、車掌が車内発売しその駅は運賃起算点と
なっているため旅客は取り扱うことになる。車掌は線外にわたる乗車券
を原則発売できず、駅で乗車券を発売しないから手荷物の受託を行わな
い、というものとあります。
4 小荷物及び貨物だけを取り扱う業務委託駅
(3)駅員無配置駅
1 車扱貨物を取り扱う駅員無配置駅
単に運賃起算点であるに過ぎず、取扱受持ち駅(注:管理駅の意味でし
ょうか?)が指定され、当該受持ち駅がその駅の貨物を取り扱う。
2 旅客に限って取り扱う駅員無配置駅
形態としては、旅客運賃の起算点として駅名標が立っているだけのもの。
車掌が乗車券の車内発売をするから旅客と取り扱うというとのことです。
旅客の乗降を取り扱う乗降場との相違点は、運賃の起算点であるかない
かのみ。
通常イメージされる「国鉄自動車駅」は(2)ですが、(1)の鉄道接続駅(鉄道
の出札窓口で乗車券類を発売するケースなど)や(3)のいわゆる停留所も、国鉄
〜自動車線駅に分類されるようです。
※政宗3号さんの投稿です。 (4354)
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2 業務委託の種類
昭和27年1月に「自動車線乗車券委託販売取扱手続」が制定され、労働密度の
低い駅員配置駅を、業務委託駅に転換する事になった。
業務委託駅の受託人は、各地方自動車事務所毎に駅務受託会社を設立し委託す
る事になったが、昭和33年10月に、旅行斡旋業務の「株式会社日本交通観光社」
が、これらの受託会社を統合・吸収した。
業務委託の種類は、以下の通り。
(a) 第一種委託駅
・支払対象業務 (乗車券の販売等)
・指定付帯業務 (払いもどし業務、乗務員扱収入金の保管等)
・駅施設・用地は、国鉄負担
(b) 第二種委託駅
・支払対象業務 (乗車券の販売等)
・駅施設・用地は、受託人負担
(c) 簡易販売所
・乗車券の販売のみ
・個人商店等に委託
※この項の参考資料
(a) 『国鉄北海道自動車五十年史』(S59.6.10)
(b) 『国鉄中国自動車30年史』(S55頃)
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3 「バス駅」について
元々のバス駅は、出札業務のほか、荷・貨物関係業務、
輸送上の手配・連絡業務などを行わせるために設置したものです。
その後、競合路線のある区間での乗車券の積極販売や、
団体・貸切需要を取り込む営業拠点として拡充されました。
業務量の多い順に一種>二種>簡易です。
一種は、国鉄の駅員と同等の業務を、丸ごと受託しました。
乗車券類の発売は勿論、変更、払戻し、追徴から券の出納、管理まで、
荷物(手・小・一時預かり)関係業務の一切、遺失物の取扱い、
調査・報告関係業務、簡易委託駅の管理、交通広告の取次ぎ、
変わったところでは、滞泊乗務員の車内券や両替金の保管などもです。
土地や施設は国鉄持ちで、財産票が付いているのはこのためです。
日交観への委託駅が第一種というより、第一種駅を任せる会社として、
元々旅行業者だった日交観を選んだ、というほうが近いです。
二種は、乗車券類の発売、荷物の発受と、これに附帯する業務などを
限定的に受託しました。形式上、土地や施設は受託者持ちとなります。
簡易は、乗車券の発売のみを行いました。
一種と二種で、発売できる乗車券類に規則上の差異はありませんでした。
(実際に扱う範囲は各地方局で決めていました。)
日交観は元々、制限なく国鉄券を発行できる会社でしたから、
指定券や定期券、団体券など、額面の高い券を積極販売していました。
また、後に岩泉など「駅前駅」が登場しますが、
これは国鉄バス駅の受託者に、鉄道関係業務も委託したものです。
これに対し簡易は、車内での発券や両替の負担を軽減させる目的ですから、
近距離券しか扱わず、受託者が委託料を差し引いた金額で
あらかじめ乗車券を買い取るという方式でした。
簡易も日交観に元請けさせ、日交観から再委託するケースが多く、
おもに停留所近くの個人商店でしたが、鉄道弘済会や地方自治体、
はたまた他のバス会社という例もあったようです。
なお、冒頭で貨物と書きましたが、原則として日交観は貨物を扱わず、
貨物関係は日本通運などが受託し、その後輸送自体も国鉄を離れました。
※青い路線さんの投稿です。 (15578)
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4 日本交通観光社について
・五堂新太郎氏のWEBサイトに「国鉄の業務委託駅と日本交通観光社」という記事
がある。骨子は以下の通り。
◇1951年頃、140余りの駅員配置駅と300程の業務委託駅が存在した
◇1955年に国鉄自動車線における駅業務を受託する組織として設立
◇日交観への委託駅を「第一種委託駅」、それ以外を「第二種委託駅」
◇1970年より鉄道駅の運営に進出。最も多い時期には538駅を受託。
◇国鉄からの業務委託の他、旅行業や広告業、保険代理店業などにも進出
・『月刊 ホテル旅館』1984.12に「エージェントの戦略・戦術(21)」という記事
があり、日本交通観光社が紹介されている。骨子は以下の通り。
◇昭和30年12月に国鉄自動車駅業務受託会社8社が共同出資して設立
◇昭和33年10月に鉄道弘済会が8社を買い取り、結果、日本交通観光社は鉄道
弘済会の100%出資子会社となった。
◇昭和34年4月1日から鉄道部門の駅業務受託を開始
◇その後、日本交通公社に資本参加を要請し、旅行業者になる
◇S59時点の状況
・旅行部門 旅行業者大手12社のひとつ 業界11位(12位は京王)
・事業部門 駅レンタサイクル 28箇所
軽食堂(ハンバーガー、うどん、コーヒー、カレー等) 47箇所
売店 54箇所
コインロッカー
・自動車部門 227箇所
・鉄道部門 621箇所
・国鉄民営分割に伴い、1988.4に以下のように分割。
◇日交観北海道、東海交通事業、近畿交通事業、北陸整備、中国交通事業、
四国弘済事業、九州交通企画を分社化し、JR東日本エリアのみとなる
◇旅行代理業は日本旅行に譲渡。同社傘下で日交観トラベルを設立
・分割各社で、バス関係を担当している会社は、以下の通りか
◇日交観北海道 →北海道ジェイ・アール・サービスネット
・札幌駅、新札幌駅のJRバス窓口業務と江別駅バス誘導業務はバス会社に
移管したそうで、現在、バス関係の受託はない模様。
◇日本交通観光社 →スワローツアー(東北)・ジェイアールバステック(関東)
・スワローツアーは、WEBサイトが無く、詳細不明だが、青森・十和田湖・
盛岡の駅業務の受託を続けているようだ
・ジェイアールバステックは、路線バス事業者になってしまったが、水戸駅
前窓口の受託やレンタサイクル・売店の営業も継続しているようだ
◇東海交通事業
・城北線の鉄道事業者。現在、バス関係の受託はない模様。
◇近畿交通事業 →ジェイアール西日本交通サービス
→JR西日本交通サービス(関西)・JR西日本中国交通サービス(中国)
・現在、バス関係の受託はない模様。
・なお、金沢を含む西日本JRバスは、西日本ジェイアールバスサービスと
いう子会社を持っているので、実質、ここが継承している模様。
◇北陸整備 →ジェイアール西日本金沢メンテック→JR西日本金沢メンテック
・現在、バス関係の受託はない模様。
◇中国交通事業 →日本交通石油(バス)・ジェイアール西日本広島メンテック
・1997年に、岡山・倉敷・小郡・山口でのバス窓口業務が日本交通石油へ
移管された模様。主に各営業所のバスの給油と車内清掃を担当していた。
・西日本バスネットに社名変更。その後、西日本バスネットサービスへ。
ひかりぐるりんバスを運行するバス事業者だが、詳細不明。
◇四国弘済事業 →四鉄サービス
・バス営業所に事業所があるので、現在も継続中のようだ。
◇九州交通企画 →JR九州鉄道営業→JR九州サービスサポート
・現在、バス関係の受託はない模様。
◇日交観トラベル →日交観→日旅サービス→日本旅行サービス
・現在、バス関係の受託はない模様。
・S30年代 日本交通観光社 案内所一覧表
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・ご協力 政宗3号さん
青い路線さん
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